キャノンDIAL35

 

DIAL35

 

紫白 症状

2003年に2つのDIAL35を合体した時は快調だったが、絞り羽根、メーター系に問題が出て来た。
・マニュアル絞り時、
  針は動くが、絞り羽根は動かない
・オート絞り時、
  針も動かず、絞り羽根も動かない

 

紫白 推定原因

絞り羽根の粘着とメーターのトラブル

 

 

修理記録 (2014年4月)
今回は反省の多い修理ですから、まず反省点を記録しておきます

 1.不必要にユニットを分解しない・新たなトラブルを誘発してしまう。
 2.羽根はむやみに分解しない・再組み付けが大変
 3.むやみにメーターの中を触らない・メーター自身の故障は再起不能

では、分解・再組立ての旅へ出発しま~す。

 

Ⅰ.カバーと本体の分離、電気系テスト

 

手順

1.
鏡胴のカバーを外します。矢印で指し示している小さなビス3本で固定してあります。

 

手順

2.
鏡胴カバーを外すと、その下のプラスティックレンズリング、光量調整リングも外す事ができます。

 

手順

3.
続いて距離計ノブも外します。ビス2点でレンズリングに固定されています。

 

手順

4.
手動絞りボタンのカバーを外します。小さなビス3本で本体のボタンに固定されています。

 

手順

5.
シャッターボタンガイドを外します。指サックをして反時計方向に回すつ、外れます。カウンター窓の透明プラスティック部品も同時に外れます。

 

手順

これが、外れた状態です。

 

手順

6.
リワインドボタンの枠を外します。ビス2点で固定されています。

 

手順

これが枠を外した状態です。

 

手順

7.
この後、ビスを3本外しますが、いずれもビニールカバーの下に隠してあります。これは上カバー下の2本。

 

手順

これは底カバー下の1本。

 

手順

8.
巻き上げチャージグリップも外します。矢印で示したビスを外した後にグリップを反時計回転させます。

 

手順

ここで注意。ビスは2段になっていますので、2本とも外した後にグリップを回転させます。

 

手順

外したグリップです。バラバラになる恐れがあるので慎重に扱います。

 

手順

グリップを取り去った後の本体です。

 

手順

9.
黄色い矢印で指し示した遮光版を外します。ビス2本で固定されています。

 

手順

外した遮光版とビス2本です。

 

手順

遮光版を取り去った本体です。

 

手順

10.
外すべき部品は全て外しました。これからカバーを外しますが、その前にリワインドボタンを浮かせておきます。

 

手順

11.
カバーが外れました。しかし、まだ、フラッシュの電線で本体とつながっています。

 

手順

リワインドボタンが抜けて、中の金属棒が出て来ました。保管しておきます。

 

手順

フラッシュの電線です。半田ごてで外します。

 

手順

12.
カバーが本体から外れました。本体の状態を調べます。
まずCdSの機能確認です。
CdSへのリード線2本を切って、抵抗値を調べます。手をかざして入力光をさえぎると抵抗値が変化しますから、正常と判断します。

 

手順

13.
次は露光計を外して機能確認します。
準備として矢印で指し示した距離計針レバーを外します。レバーの先には細い針が付いていて、とても折れやすいので要注意です。

 

手順

これが外したレバーと支点ビスです。

 

手順

レバーにはバネが引っ掛けられていましたので、そのバネをレバーから外します。

 

手順

14.
露光計が入っているファインダーユニットは2つのビスで本体に固定されています。
一つは、電池ボックスの隣の接点回転防止ピンを兼ねています。

 

手順

もう一つは、フィルム装てん部の奥にあります。

 

手順

15.
これでファインダーユニットが取り外しできます。メーターの針が干渉しない様に注意して外します。

最悪、針を折ってしまいます。今回は針を折ってしまいました、結局。

 

手順

外れました。メーターへのリード線で本体とつながっています。

 

手順

スペーサーが一個落ちて来ました。これは、黄色矢印で指し示したピンが刺さっていたものです。紛失しない様に注意が必要です。

 

手順

電池ボックスに電池を入れ、CdSへ行っている2本のリード線をチョンチョンと接触させてやります。
動きます。
メーター単品では問題ありません!!。

メーターの動作確認の為にファインダーユニットを外す必要はありませんでした。
今回の修理ではこの不必要な作業を行った為に、針折れと言う重大トラブルを誘発しました。
大いなる反省その1です。
 

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Ⅱ.鏡胴ばらして羽根掃除

 

手順

16.
レンズを鏡胴から外します。2本のビスで固定されています。

 

手順

外したレンズとビスです。

 

手順

17.
次は距離合わせ用レバーを押さえているリングと、レバーを外します。金属ケガキコンパスを使います。

 

手順

18.
その下には、花びら形状の薄い円板があります。回転防止用の小さなビスを半回転させた後に、これをねじって外します。

 

手順

19.
シャッター機構が現れました。

 

手順

20.
ここからは、鏡胴ユニットを台版ごと本体から外す作業です。
まず矢印で指し示したバネを外します。

 

手順

バネを外したら、こんな状態です。

 

手順

21.
鏡胴ユニットの台板は、4本のビスで本体に固定されています。

 

手順

向かって左上のビスです。

 

手順

向かって左下のビスです。

 

手順

向かって右上のビスです。

 

手順

向かって右下のビスです。

 

手順

22.
これで鏡胴ユニットが外れると思いきや、まだすんなり出て来ません。
次の作業を楽にするために、カウンタユニットを外します。3本のビスで固定されています。

 

手順

外したカウンタユニットです。
赤矢印で指し示した穴のビスは本体固定用ですが、黄色矢印で指し示した2つのビスは本体固定以外にカウンタユニット内でレバーの支点の役割も持っていますので外さない様にセロテープで押さえる等の処理をします。

 

手順

今回はついつい流れでカウンタユニットを分解してしまいました。
写真の様にたくさんの部品で構成されています。

 

手順

分解しなくても良いユニットを分解した様ですから、再組み立てをします。
写真はカウンタを裏返した状態です。カウンター台板に固定する前に4本のビスにそれぞれスペーサーをかませます。
段付きスペーサー①は狭い段が下に、
段付きスペーサー②、③は狭い段が上に、
スペーサー④は段無し、
です。

 

手順

こちらはカウンター台板です。これを裏返して上の写真のカウンター部に乗せ、4本のビスが抜け落ちない様に、一緒に裏返してやります。

 

手順

23.
ようやく鏡胴ユニットがスムーズに外せます。鏡胴ユニットを外した本体とファインダー部です。

 

手順

こちらは、外した鏡胴ユニットです。

 

手順

24.
鏡胴ユニットを裏側(フィルム側)から見ます。矢印で指し示した4本のビスを外して台板と鏡胴を離します。

 

手順

25.
ところが絞りを調整する為にレバー結合もされています。大きい矢印で指し示したレバーですが、小さい矢印で指し示したピンが軸になっています。

 

手順

このレバーをピンから外して、浮かせます。

 

手順

26.
こう言う状態で分離します。

 

手順

 ここから先の分解は「勇み足」でした。
ここまでの状態でベンジンにジャブ漬けし、清掃すべきでした。羽根はむやみに分解しないことです。
 

 

「羽根ばらしちゃった」編に入ります。

手順

27.
次は羽根部と機構部を分離します。
裏側(フィルム側)に頭が見える3本のビスを外します。

分離しました。写真左には絞り羽根が見えます。

 

手順

 
外した機構部からはバネの足が出ています。

 

手順

機構部をひっくり返して見ると、シャッター羽根がくっ付いています。動作上大丈夫だったのですが、すでに粘着ぎみです。

 

手順

28.
絞り羽根は2点のビスで固定された円板に押さえられています。このビス2つを外します。

 

手順

円板を外しました。4枚の絞り羽根で構成されており、しっかり粘着しています。

 

手順

羽根はベンジンにじゃぶ漬けして、油をきれいに撮ります。

ここからの羽根の再組み付けが長い道のりです。
返す返すもこの羽根分解は回避してベンジンジャブ漬けすべきでした。

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Ⅲ.再組立て

 

手順

29.
なかなかうまく絞り羽根を固定できず難儀しましたが、結局、左の写真をひっくり返した様な状態で羽根を並べました。まず、写真の黒く見える円板の上で、円板上の4つの穴に、4枚の羽根1枚づつの上にあるピン(固定支点)を刺していき、正規に並んだところで白く見えるアルミの外枠をかぶせます。アルミの外枠側には羽根を開閉するための円弧状の長穴が4つ開いていますので、各羽根上のピンがこれらの長穴に入り込む様にやさしくすらしたりピンセットで動かしたりして位置調整します。位置調整ができたと判断できたらレバーを動かして絞り羽根の動きを確認し、スムーズならビス2点で黒く見える円板を固定します。
左の写真は、ビス止めまで終わったものです。
いやいや、大変な作業です。

 

手順

30.
シャッター羽根の組み付けは、左の写真中の左側に見える黒い円板上に2枚のシャッター羽根を置き、①で組み込んだ絞り羽根部をかぶせて3点ビス止めします。羽根は2枚しか無いのですが、黒い円板の裏にはシャッター機構が搭載されており、黒い円盤から出ている羽根支点用のピンを絞り羽根部の穴にちゃんと収めなくてはならないので一苦労です。

 

手順

31.
ようやく組み付けましたが、バネの足位置には注意が必要です。

 

手順

とりわけシャッターチャージ時にロックをかけるバネは、老眼ではほとんど確認する事ができない様な細いものです。
このバネの足が外れていると、チャージレバーがバネ力で勝手に戻ります。
本来は、チャージレバーでチャージした時にロックがかかり、シャッターレバーを押すとそのロックが外れて羽根が開くしくみの様ですが、このロックがかからないのです。
正しくは、写真中で、黄色い矢印で示した様に掛けます。

 

手順

32.
次は鏡胴台板への組み付けです。写真の左側から順番に組み付け、最後にビス4本で固定します。
写真左下の部品は、分解時に外した、絞りを調整するレバーです。

 

手順

33.
絞りを調整するレバーは、鏡胴側から出ている針金に引っ掛けて組み付けました。

 

手順

34.
なかなか上手く組み付けできないので、CdSの座に相当する黒い部品(大きい矢印)を外して組み付けしました。組み付け後には、この部品は改めてビス止め(小さい矢印で指し示しているのがビス穴)します。
ここまでが、「羽根ばらしちゃった」編でした。返す返すも、この状態でベンジンジャブ漬けすべきでした。

 

手順

35.
鏡胴ユニットの本体への組み付けです。4本のビスで固定です。

 

手順

組み込み終わりました。

 

手順

36.
カウンターユニットを本体に組み付けます。写真は、裏側から見ており、この後この空き空間にはファインダーユニットが入ります。今はまだファインダーが無いので、シャッターボタンの裏側が見えます。

 

手順

本体に組み付けたカウンターユニットを正面から見ます。2つの矢印で指し示した場所の位置関係が要注意です。
矢印①はシャッター戻しバネの足をひっかけるレバーで、上の方に無くてはなりません。
矢印②はシャッターチャージの部分で、左から、チャージ駆動力になるフィルム巻き上げ歯(写真では陰で煮えにくい)、カウンターラッチレバー、鏡胴内チャージレバー、の順に位置していなければなりません。

 

手順

37.
カウンター組み付けの仕上げは、カウンターコイルバネのチャージです。カメラの後ろカバーを開けた時にカウントがゼロに戻る為に必要なバネです。
矢印で指し示したビスを反時計方向に緩めるとコイルバネのストッパーから逃げますので、これを緩めて、カウンターを時計方向に回転させます。
コイルバネの巻き込みが一杯になってカウンターを回転できなくなったら、ビスを締めてカウンターを解放します。これで、カウンターは、バネ力がかかった状態でストッパーに当たって止まります。カウントゼロの状態です。

 

手順

38.
ファインダーユニットも組み込みました。

 この後は、手順を間違えない様に、組み付けていきます。
レンズ組み込みは、解体前の位置になる様にします。ヘリコイドのねじ込みは何カ所から可能ですから間違えない様にします。最悪は、焦点出しをやりなおします。
カバーの再組み付け時には、リワインドボタンはまだ穴から出してだらんとさせておきます。
 

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Ⅳ.最後の失敗

 

手順

39.
折れたメーターの針です。
本来は手動絞り設定用に、写真の赤で描いたようなL型の先端をしています。

 

手順

40.
手動絞りボタンを取り外します。ビス1本で固定ですが、スペーサーを無くさない様に注意します。

 

手順

失敗1.
L型の先端をしたバネ材を、折れてしまった針に、2成分接着剤で接着します。
長時間保持しなくてはならないので簡単な治具を作ります。

 

手順

ゲタを用意して上面にあたる面に両面テープを貼り、その上にL字に曲げたバネ材をくっつけ、さらに両面テープで挟みます。メータの折れた針と補修用のバネ材が一体になる様に位置を決めて両面テープで固定し、2成分接着剤で針とバネ材を接着し、固まるまで待ちます。

 

手順

接着剤が固まったら、注意深く治具を外します。出来栄えは写真の通りで、なかなかのものでしたが、位置関係が間違っていました。

 

手順

失敗2.
ハンダゴテで接着剤を溶かして、振り出しに戻ります。
次に考え付いたのは、瞬間接着剤で針とバネ材を接着しておいて、後から2成分接着剤で補強する方向です。
一見うまくいったのですが、セロテープをはがしても針がフリーで動きません。振り切れ状態の所でひっかかっています。
接着剤がメーターの内壁のどこかにこすっている様です

 

手順

失敗3.
上の写真の中にメーター内部のコイルバネが見え又、メーターセンター出しのビスの頭もわずかですが見えます。
コイルバネは、電流の通り道、すなわち回路の役割も果たしています。センター出しのビスはねじ込んでいくと、ポトリとメーターの中に落ちてしまいます。
こすっている場所を探す際に、これらをいじってしまいました。
最悪の結果として、コイルバネをピンセットで切断する始末です。私はこれでメーターをお釈迦にしてしまいました。

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