マミヤ35Ⅱ

 

Mamiya-35Ⅱ

 

紫白 症状

入手当初の1990年からシャッター羽根の動きが悪かった。2011年の再確認時には、さらに悪化していた。

 

紫白 推定原因

シャッター羽根表面に広がった油膜による粘着

 

 

 

修理記録 (2014年1月)

 

手順

1.
原因はシャッター羽根の油膜である事がはっきりしていますので、シャッター羽根の駆動部分まで分解しシャッター羽根を1枚づつきれいにする事にします。
その為の最初のステップはレンズユニットの本体からの取り外しです。矢印で示したビス4本を外します。

 

手順

2.
4本固定ビスを外した後、レンズユニットを引き抜いた本体です。

 

手順

3.
レンズユニットを裏(フィルム面)側から見ます。四角の穴が開いた2枚の遮光板が見え、その奥に見えるのがシャッター羽根です。
矢印1で示した遮光板は、手で抜けます。
矢印2で示した遮光板にはカイラギ用の溝が2ケ所有り、とてもきつくしまっています。

 

手順

4.
矢印2で示した遮光板のカイラギ用溝には、この様なハンドメイドの工具を使います。
鉄の板金です。

 

手順

使い方は、右の写真の様な感じで時計方向にねじります。
ここでは手で持っていますが、実際には手でねじるのは無理で、大型のペンチを使ってねじります。

 

手順

5.
取り外した遮光板2です。
恥ずかしい事に遮光板の溝回りが傷だらけになってしまいました。この傷は後で、ツヤ無黒で補修します。

 

手順

6.
遮光板2枚を外したレンズユニットです。

 

手順

7.
レンズユニットは更に、取付け側(取付け板と距離計リング)と鏡胴機構部との2つのユニットから成っています。
遮光板2はこの2つのユニットを結合する役目の持っていましたので、遮光板2を外した今、2つのユニットを別々にすることができます。
 
別々にした取付け側ユニットは右の写真の通りです。

 

手順

8.
こちらは鏡胴機構部ユニットです。裏(フィルム)側から見ています。
この後、矢印で示す3カ所の固定ビスを外すとメイン鏡胴機構部と羽根押さえ部に別れ、シャッター羽根にたどり着きます。

 

手順

9.
メイン鏡胴機構部と羽根押さえ部に別れた状態です。
粘着したシャッター羽根がメイン鏡胴機構部に4枚、羽根押さえ部に2枚残っています。

 

手順

羽根押さえ部の拡大写真です。

 

手順

羽根の取付け状態を記録する為に撮った鏡胴機構部の拡大写真です。

 

手順

10.
シャッター羽根は柔らかいティッシュの上に広げます。
この後1枚づつアルコール清掃し、ブロアーでチリなどを吹き払います。

 

手順

11.
羽根押さえ部もアルコール清掃します。とりわけ、シャッター羽根との接触部は念入りに。

 

手順

メイン鏡胴機構部もアルコール清掃します。やはりシャッター羽根との接触部は念入りに。
ここで、シャッター羽根取付けのための固定ピンと可動ピンを数えてみると、5組しかありません。羽根は6枚あります。
羽根を順番に組み込んで、6枚目は1枚目の上にかぶさる構造の様です。

 

手順

12.
フラッシュ接点用の端子は、メイン鏡胴機構部と羽根押さえ部をドッキングする時に邪魔になりますので、ビス2点を外し取り去っておきます。

 

手順

13.
このカメラはフラッシュをつないでも点灯しなかったので、この際フラッシュ接点端子の機構との接触片の背を高くして見ました。

 

手順

14.
6枚のシャッター羽根を組み込みました。
この作業は、手脂すら厳禁ですから、ピンセットで行います。神経を集中させないと、最後まで上手くいきません。

 

手順

15.
いよいよメイン鏡胴機構部と羽根押さえ部のドッキングです。
ここで注意すべき点があります。シャッターレリーズのレバーがスプリングとセットになっており、スプリングの足とレバーが「閉じた」位置関係になっています。
しかしこのスプリングの足はドッキング後には羽根押さえ部内側の壁に当たってくれないと困ります。
そこで写真中の赤色矢印で示す様に、ピンセットでスプリングの足とレバーを「開いた」位置関に保って、ドッキングします。

 

手順

16.
難関を突破したら、後は順次再組立てできます。
右の写真は、最初の遮光板の組み込みが終わった状態です。この状態で遮光板の傷をつや消し黒の塗料で補修します。
 
この後は、2枚目の遮光板を組み込み、カメラ本体に組み込んで、修理完了です。

 

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