オリンパスPEN-EE-2

 

PEN-EE-2

 

紫白 症状

1993年に叔父貴からもらったEE2。当初は外観、動きの問題は無かったが、最近シャッター羽根、絞り羽根が動かなくなった。

 

紫白 推定原因

羽根への油膜付着による粘着

 

 

 

修理記録 (2014年2月)

 

手順

1.
どこから分解するか?
どこかの時点でレンズ前面のセレン感光体を外さなくてはならないので、手始めにここに手を付けます。 ただし、この部分には、工具をひっかける様な溝や穴は全く無いし、ビスもありません。

 

手順

2.
と言う事は、いつものパターンの力仕事が必要と言う事でしょう。親指と人差し指に指サックをして、飾りリングを押し付ける様にしながら反時計方向に力を入れます。
思惑通り、飾りリングは回りました。

 

手順

3.
次は、「これも外さなくてはならないのか?」と思うくらい判りにくいのですが、絞りダイヤルリングの一部、手前側の金属部、も外します。外し方は、やはり指サックで押さえ回しです。

 

手順

4.
ここまで外した2つのリングです。
セレンを浮かせてみようと試みたのですが、配線がキチキチになっているので無理でした。と言う事はこれ以上ここを触るのは無理と言う事なので、レンズ前面からの攻撃はここで一休み。

 

手順

5.
となると、正攻法です。レンズユニットその物を本体から取り外して羽根にたどり着く作戦を取ります。
軍艦部の取り外しから、です。
まず、巻き戻しノブの溝にドライバ先端を刺したままノブを反時計方向に回転して、このユニットを取り外します。

 

手順

6.
巻き戻しノブを取り外しました。2本のビスが見えてきましたので、この2本を抜きます。

 

手順

7.
さらに本体右側もビスで固定されているので、これも抜きます。ここまでで、軍艦部は外れます。

 

手順

8.
軍艦部を開いた状態です。

 

手順

 
フラッシュシュー用のリード線は、はんだ付けの上から接着剤が塗布されています。

 

手順

9.
軍艦部の次は、前板を外します。
前板は右側(X接点側)のみが外れ、これはビス2本で本体に固定されています。
この作業の前段階として、皮をはがします。アルコール(消毒用で十分)をしみこませながらマイナス時計ドライバーの先端で少しづつはがして行き、無理をしてはいけません。前板の境目が現れたら、はがすのを止めます。
写真の状態で、ビス2本を外します。

 

手順

10.
いよいよレンズユニットを本体に固定しているビスを外します。
そのビスは、裏蓋を開くとビス頭が見える4本です。この4本を外します。

 

手順

11.
はい、外れました。メーター、ファインダー付きのレンズユニットと、前板、軍艦部です。

 

手順

 
ここまでに外した部品です。

 

手順

 
巻き上げ機構だけが残った本体です。

 

手順

12.
実はレンズユニットを外す時に底板に引っ掛かり、作業を難しくしていました。そこで、再組立て時の事を考えて底板を外します。巻き戻し用のレリーズピンが自然落下しますので、なくさない様にします。

 

手順

13.
さてここからはレンズユニットのバラシです。
 
前面に戻って、3本の固定ビスを外します。

 

手順

 
3本の固定ビスを外した後に、絞りダイヤルリングを持ち上げると、リング取り付け円板と一体になって外れます。感光体へのリード線は、本体から外した時点で自由になっています。

 

手順

14.
鏡胴部分を拡大します。
矢印で指示した3つのビスがレンズ部を固定していますので、この3本を抜きます。

 

手順

15.
レンズ部は2枚のシム(薄い金属)を敷いています。また、絞り羽根もレンズ部の一部として組み付けられています。

 

手順

16.
絞り羽根の動きを確認します。
写真左が絞り解放、写真右が絞り切った状態ですが、外力を加えなくても状態を保てます。すなわち、絞り羽根はしっかりと粘着してしまっていると言う事です。

 

手順

17.
レンズ部の裏側、後球に穴が二つありますので、ケガキコンパスの先端を穴に入れて反時計方向に回します。これで、後球が外れます。

 

手順

18.
後球が外れ、絞り羽根機構が見えてきました。絞り羽根機構は3本のビスで固定されているのがわかります。

 

手順

19.
3本のビスを外して絞り羽根機構を横にスライド、引き抜きます。この時3つのビス穴用のスペーサー3枚も一緒に出てきますので、無くさない様にします。

 

手順

20.
絞り羽根機構を裏返しにしてみます。部品は全てカシメで組み付けられていますので、これ以上の分解はできません。

 

手順

21.
絞り羽根機構をベンジンにじゃぶ漬けして、洗浄します。
洗浄後は羽根の動きを確認し、スムーズに動くまで洗浄を繰り返します。

 

手順

22.
絞り羽根機構の洗浄が終わりました。
又、前球、後ろ球も、綿棒にかぶせたレンズクリーナーペーパーできれいに拭きました
さてこれからレンズ部の再組立です。

 

手順

23.
3つスペーサーをビス穴の上において・・・

 

手順

 
絞り羽根機構を、前球保持部品の横に開いているスリットからスライドして入れます。

スペーサーをビス穴からずらさずに絞り羽根機構を定位置に持ってくる事の、まーなんと難しいこと!!

 

手順

24.
ようやく絞り羽根機構の組み付けが終わりました。
絞り羽根の動きがスムーズである事も確認しました。

 

手順

25.
レンズ部再組立て後の部品たちです。

 

手順

26.次に、
シャッター羽根の清掃に入ります。
シャッター羽根は、写真の様に開きっぱなしです。

 

手順

 
写真のレバーを外す為に、まずマイナスドライバーでネジを外します。
細いバネが掛っていますので、分解後無くさない様に注意が必要です。

 

手順

27.
これが、外したレバー、他の部品です。段付きネジ、バネ、レバー、一番下にはスペーサー、の順に組まれています。

 

手順

28.
黄色の矢印で指し示した3本のビスを外すと、シャッター羽根を覆っている部品が外れます。
ところが、このままではAのビスが外せません。上に取り付けてあるメーター(B)が邪魔をしてドライバーが入らないのです。
手順は前後しますが、メーターを固定しているビス(C)を緩めて、メーターの位置をずらし、ビスAを外します。

 

手順

29.
取り外した部品にはX接点が設けられており、その関係で、軍艦部カバー、前カバーにリード線でつながっています。

 

手順

30.
ひっくり返して見ると、しっかり粘着したシャッター羽根が見えます。2枚組ですが、もう1枚はレンズユニットのベース側に残っています。

 

手順

31.
このシャッター羽根をはがして、ベンジン清掃します。方法は、ジャブ漬けとふき取りの何回かの繰り返しです。

 

手順

32.
シャッター羽根をはがした跡には油膜が付いています。

 

手順

 
この油膜もベンジンできれいに拭き取ります。

 

手順

33.
きれいになったシャッター羽根をきれいになった部品に配置します。

 

手順

34.
レンズユニットのベースを裏返して見てみます。

 

手順

 
シャッター羽根の片割れが残っていますので、これをはがします。

 

手順

35.
はがしたシャッター羽根は、ベンジンにジャブ漬けしてふき取り、これを何回か繰り返します。

 

手順

36.
こちらも、シャッター羽根をはがした跡には油膜が付いています。

 

手順

37.
この油膜もベンジンできれいに拭き取ります。

 

手順

38.
きれいになった2枚のシャッター羽根が、きれいになった部品の上に配置されました。動きはスムーズになっています。

 

手順

39.
この後再組立てに入ります。再組立てにあたっては、その途中途中で動作チェックしなくてはなりません。
矢印Bのシャッターボタンを押して羽根の動きがスムーズな事を確認する訳ですが、その際にはシャッターチャージが必要です。写真中で矢印Aで指し示した歯車がチャージ用です。

 

手順

40.
レンズユニットの再組み立てが終わりました。動作チェックの一つとしてフラッシュ点灯確認を行います。
写真の様に、軍艦部カバー、前カバー、レンズユニットのアース側は黄色いリード線でつないでいます。

 

手順

41.
レンズユニット単体でのチェックが終わったら、本体へ再び組み込んで本体に組み込んで、再び動作確認します。
ところで、工程28(こちら→)でメーターの取り付け位置をずらしていたので、この位置を戻します。ただし、いい加減なやり方で位置決めすると、上手く動作しません。
私の失敗例では、アンダー露光でシャッターボタンを押した後は、露光量十分に戻してもアンダー露光状態のままでした。メーター部を観察してみると、「段カム」が写真の様に上にせりあがったままでした。

 

手順

42.
このトラブルは、「段カム」がメーターとこすれている為でした。

 

手順

43.
再組み付けも最後の作業に入ります。
正面ではがした皮の貼り付けです。

 

手順

44.
使用する接着剤は「アラビアゴム」です。

 

手順

 
皮の裏側に薄く均一にノリを付けます。

 

手順

45.
そのまま押さえる訳ですが、平らに、しかも強度を持って貼りついてもらう為には、しばらく押さえて置く必要があります。
押さえ方はいろいろ工夫しますが、レンズユニットと本体の隙間に「つまようじ」を差し込んで押さえるのも、一つの方法です。

 

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