ライカM3
症状
大枚はたいて買った2000年には絶好調だったM3だが、2011年の動作チェック時にはシャッター速度1,2,5で後幕が動かなくなってしまっていた。他のシャッター速度では、問題無し。
推定原因
スローガバナ―周りのトラブル
修理記録 (2014年3月)
1.
まず軍艦部カバーの取り外しに挑戦します。
レンズマウント上部の止めネジをはずします。
ネジで固定された上に樹脂の様なものを流し込んで緩み止めしています。パテで覆ってLマークが彫られているのが正規だそうですが、誰かがいじった後の様です。
2.
巻き上げレバー部を外します。
まず、ハンドプライヤーで飾りリングを外し・・・
レバーと板バネを外した後にカニ目の固定リングを外します。ケガキコンパスを使います。
3.
次はシャッター速度ダイヤルを外しますが、これは表から見えるマイナス頭のビス1本を外すだけです。
これがダイヤルを外した状態です。
4.
シャッター速度ダイヤルの隣にシューがありますので、これも外します。
4本のビスで固定されたシューの下に圧着用の金属足があり、その下に写真の様な板バネがあります。
5.
次にフラッシュ接点の飾りリングを外します。2つです。
傷付けない様に、ハンドプライヤーを使います。
6.
ファインダーは最初に飾りリングを外します。ハンドプライヤー使用です。
ファインダーには、まだ接眼レンズが残っています。
接眼レンズは、カニ目になっていますので、ケガキコンパスで外します。
7.
巻き戻しノブの取り外しに移ります。
赤いペイントで装飾された2つの穴がカニ目です。このビスをケガキコンパスで外します。
外した部品3つです。
上の写真の3部品を外した軍艦部です。
カニ目ビスを外した時に使用した工具類を紹介します。
使用済みのフィルムケースを通常使用の様に挿入し、このケース中央の突起に、あらかじめフラットな先端に溝を切ったドライバー(家庭園芸用具を使いました)を差し込んで、ねじります。その時には当然カニ目ビスも回転しようとしますので、ケガキコンパスをカニ目に差し込み固定します。
巻き戻しノブの座に、わかりにくいですが、飾りリングがねじ込まれています。これもハンドプライヤーで外します。
8.
ここまで外した部品です。
本体です。
軍艦部カバーを上方向にずらして行きます。
9.
カバーを外した軍艦部を上から見ます。
正面から見た写真で、黄色矢印で指し示した所がスローガバナーです。
巻き上げレバーを仮止めしてシャッターを切ってみても、シャッター速度1,2,5の時にはスローガバナ―内の歯車は回転しません。
スローガバナーを清掃する事にします。
10.
スローガバナーを本体に固定したままで清掃する方法を採ります。
左の写真は、清掃したい部分の拡大です。
この部分に、ベンジンをたっぷりしみこませたティッシュ片を押し付け、ベンジンを流し込みます。
流し込んだ後にシャッター速度1でシャッターを切ると、一発でこの歯車も動くようになり、後幕も動くようになりました。
スローガバナーユニット内で微細なゴミ、油かすが歯車にくっ付いて、動きを阻害していた様です。
この後、ベンジン清掃とシャッターオンを何回か繰り返します。
11.
再組み付けの前に、製造番号の確認です。
ボディの製造番号は、下カバーを外して、底板(ビス3点止め)を外せば見えます。
このM3は、軍艦部カバー上に刻印されている製造番号とボディに印刷されている製造番号は一致しています。
12.
軍艦部の部品をすべて取り付けました。
復活までもう一歩です。
13.
最後の部品、レンズマウント上部の止めネジをねじ込みました。
14.
パテで埋めて、完成です。
注意.
スローガバナ―を取り外して清掃しようとすると、その前にファインダーユニットを外さなくてはなりません。
ファインダーを固定しているビスは3本です。
この写真はフィルム装てん部分の空間を見ていますが、奥に2本ファインダー固定用ビスの頭が見えます。何とかドライバーが入りそうです。
さらにもう一本、距離計コロの奥にファインダー固定用ビスがあります。
このビスを外すには、ボディカバーを取らなくてはなりません。
ボディカバーを取り外すとなると、リバースレバー、レンズ着脱ボタン、セルフタイマーレバー等を外さねばならず、素人には無理!!です。