KONICA SⅡ
症状
2008年に手に入れてからそのまま保管していたKONICA SⅡ。外観、機能はそこそこだが4つの問題点があります。
a.フィルムカウンタが戻らない
b.セルフタイマーが動かない
c.巻き上げレバー横の窓の意味不明
d.モルトの劣化
推定原因
a.カウンタチャージが解除されない
b.c.原因不明
d.モルトの劣化
手入れ記録 (2014年6月)
まず軍艦部カバーを外して、中を見ます。
1.
巻き上げレバーはカニ目ビスで押さえられていますので、まずこのビスを外します。道具は、ケガキコンパスです。
巻き上げレバーの上には板金部品が乗っかっています。
左から順番に外した順番です。部品点数は7点。
写真中、左から2つ目の部品が意味不明の窓を持っています。窓から見える色は赤、青、黒です。分解してみると、他の機構への連動も無く、単独で色を変えるだけの機能の様です。使用マニュアルなどで調査したところ、この窓は装填したフィルムの種類の「覚え」のためのものだそうです。従って何の「問題」もありません。(「問題点c.巻き上げレバー横の窓の意味、動きが不明」の解決)。
本体側に残った部品は押さえナット。ピンボケで写っているのが手製のドライバーで、これで緩めます。
こんな具合に、ナットの溝に手製ドライバーの突起部を差し込み、後は力を入れて「エイッ」とねじります。
2.
次にシューの取り外しです。しかし、このカメラはシューを外さなくても軍艦部の取り外しは可能です。
シューのアタリを兼ねた飾りビスを外しバネ材を外すと、写真の様に2点のビスが見えます。この2点でシューが軍艦部カバーに固定されています。
3.
巻き戻しレバーの取り外しは、他の機種と同様です。レバー軸下部にあるフィルムスプロケット用の溝にドライバーを挿し、レバーを反時計方向(彫刻された矢印の逆方向)に回します。
この様に、巻き戻しレバーの下には軍艦部カバーを本体に固定するための隠しビスがありますので、これを外します。
4.
軍艦部カバーが外れました。これが外した全部品です。
5.
本体側にはシャッターボタンが残っています。
軍艦部カバーによって保持されていた部品ですから、下手をするとコロコロとどこかに行ってしまいます。
まず表に見えているボタンを抜きました。その下には写真の様な軸があります。
この軸は、なんと、シャッター軸に乗っかっているだけです。シャッター軸には写真の様な穴がありますが、シャッターボタンの保持のための役目は果たしていません。
フィルムカウンタの動きを調べます。
軍艦部の中です。問題のフィルムカウンタダイヤルが見えます。
裏側から見ます。矢印で指し示したレバーが、裏カバーを開けた時に巻き上げ軸から離れてフィルムカウンターダイヤルをリリースしなくてはなりません。
6.
裏カバーを開きました。
しかし、矢印で指し示したレバーに変化はありません。巻き上げ軸から離れてくれないのです。
しっかりと観察すると、劣化したモルトプレーンが接着剤の役目をし、レバーを本体に接着してしまっています。
レバーを本体から引き剥がしてやると、その瞬間、フィルムカウンターがリリースされ、バネの力で回転しました。
この後フィルム巻き上げ、裏カバー開閉を繰り返し確認したところ、フィルムカウンタは正常な動きに戻っていました。(「問題点a.フィルムカウンタが戻らない」の解決)。
ここで一気にモルトプレーンの残骸をはがして新しいモルトプレーンを貼りたいところですが、モルトプレーンのカスがファインダーに舞い込んで汚す恐れがあります。はやる心を抑えて、軍艦部カバーを取り付けます。
7.
これが外した後の軍艦部カバー内部です。
カウンター用、露光メータ用、2つの窓の接着剤が古くなってしまっており、ポロリと取れてしまいました。写真中で茶色く見えるのが古くなった接着剤です。
古くなった接着剤の除去も含めて、軍艦部カバーを清掃します。
シンナーを使い、ここまできれいにしました。
2つのアクリル窓もきれいにした後にカバーに接着しました。接着剤は2成分です。
8.
きれいになった軍艦部カバーを取り付けます。ここからモルトプレーンの張り替えです。
こびり付いているモルトプレーンをこさぎ取ります。すっかり粉状になって落ちてきますので、カメラ機内に舞い込まない様に気を付けます。
道具は爪楊枝、ティッシュを使います。
写真右下にシミが見えますが、これは清掃に使ったアルコールです。
古いモルトプレーンを取り除いたら、新しいモルトプレーンを貼ります。まず裏面に両面テープを貼ったモルトプレーンをカッターナイフで裁断します。今回は裏カバー嵌合溝のモルトプレーンですから、細く裁断しています。
新しいモルトプレーンの貼り付けています。溝は結構深いですからピンセットの先端と背中を使って奥まで押し込みます。
モルトプレーンを貼り終わり、裏カバーを閉めて見ました。
写真ではきっちりはまっていますが、使ったモルトプレーンが厚かったのでしょうか、少々力を入れて閉めないと、裏カバーはロックがかかるまで閉まりませんでした。
実用上問題無いので、これで「問題点d.モルトの劣化」の解決です。
残る問題点は一つ、「問題点b.セルフタイマーが動かない」です。
写真の右上にあるタイマーレバーが動かないので、タイマーセットできないのです。
この問題に対しては鏡胴をばらして原因追究しなくてはならないのですが、使い方が間違っている可能性もあります。
再度、使用マニュアルを読んで見ると、やっぱり使い方が間違っていました。
写真の中央部にMとXとのフラッシュ接点切り替え用ツマミが見えます。このつまみがMにセットされていると、セルフタイマーのレバーは動かないそうです。
改めてフラッシュ接点ツマミをXにしたところ、タイマーレバーを動かすことが出来、セルフタイマーをセットできました。シャッターボタンを押せば、正常にタイムダウンし、やがてシャッターが落ちました。
鏡胴をばらさなくて済みました。これで修理終了です。