SR 101
症状
2011年の再確認時、フラッシュをシューに搭載した時には点灯してくれなかった。
X接点とFP接点にリード線で接続時には、問題無く点灯した。
推定原因
入手時メーターが動かなかった為、軍艦部を取り外して、メータ内のホコリを除去した。
その修理をした時に、軍艦部内のフラッシュ接点接続が離れたのではないだろうか。
(2014年1月)
SR 101のフラッシュ接点は3つ有ります。
そのうち2つはレンズ座金横に付いています。写真の中で2つの矢印で指し示している、上からFP接点、X接点です。
もう1つの接点は、フラッシュ取付け用のシューに付いています。
1.
軍艦部を取り外して行きます。
まず裏側の固定ビス2点を外します。
2.
右側の固定ビスも1点ありますので、これも外します。
3.
巻き戻しノブを外します。フィルムカートリッジ用のシャフトにほってある溝に時計ドライバーを突っ込み、ノブを反時計方向に回します。
刻印してある巻き戻し矢印の反対方向です。
4.
巻き戻しノブを取り外すと、軍艦部を本体に固定しているカバー押さえリングが現れます。
5.
このカバー押さえリングは、先端をとがらせたラジオペンチで回転して緩めます。滑らない様に慎重に。緩まった後は手で外します。
6.
巻き戻しノブ部の部品を取り去った状態です。
7.
次は巻き上げノブを外します。
下手に工具を使うとキズ付けてしまいますので、親指と人差し指に指サックをはめて、ノブ押さえ金具を反時計方向にねじって外します。
8.
巻き上げノブの後は、「シャッター速度兼フィルム感度ダイヤル」(長い名前ですが、取扱い説明書での呼び方です)を外します。
押さえ込んでいるビスを1本外せば、ダイヤルは取れます。
ここで注意しなくてはならないのは、再組立ての為に、バラシ前のダイヤルの状態をしっかり記録しておき、又、本体側の歯車等ダイヤル機構の状態は一切変えない事、です。
9.
ダイヤルを取り外した状態です。
10.
ここまで外せば軍艦部は取り外しできそうなものですが、ミノルタの一眼レフ軍艦部には隠しビスが使ってあります。
SRシリーズの隠しビスは、正面シンボルマークの赤玉です。
11.
赤玉をマイナス時計ドライバーでこじって、赤いアルミニウム板金部品を取り外すと、ドライバー用ミゾが現れます。
12.
隠しビスを外しました。
ここまでに取り外した部品です。
13.
軍艦部を外した状態です。矢印で指し示した部品が、軍艦部のシュー接点とつながるべき接点板です。
拡大写真です。
本体下部から回り込んで来ている白いリード線がフラッシュ点灯信号の電線で、接点板にはんだ付けされています。
この接点板が変形してしまっている可能性が大きいので、できるだけ背伸びさせてみます。
14.
軍艦部を中側から見てみましょう。シュー接点部の裏が見えます。
くだんの本体側接点板が当たるのは、矢印で示した突起部です。
15.
シュー接点部を外して、接触部を磨きます。
ビスを外してバラバラにした状態です。このビス1は、他の3部品を固定すると同時に、シュー接点と板金2を電気的につないでいます。
本体側接点板と接触する板金4は、樹脂部品3によって、ビス1、板金2、シュー接点とは絶縁されています。
シュー接点部を外した軍艦部側です。
シューにフラッシュを搭載した時に押し込まれて、矢印で指し示した突起が更に出て来ます。それによってシュー接点部の板金部品4が板金部品2と接触するしくみになっています。
16.
接触部を磨いたシュー接点部を再び組み込んで、まずは軍艦部単独でのフラッシュ点灯テストです。
フラッシュをシューに搭載して電源ONしパイロットランプが点灯するのを待ちます。
パイロットランプが点灯したら、軍艦部側板と接点板4の突起をテスト用の電線でつないでみます。フラッシュはしっかり点灯しました。軍艦部側に問題は無い様です。
17.
修理工程13で本体側接点板の変形を補正しました。その効果の確認をします。
軍艦部を本体にビス3本で仮止めし、フラッシュ点灯テストを行います。
結果は、OKでした。フラッシュは無事に点灯しました。
この後は、再組立てです。
18.
やっかいな「シャッター速度兼フィルム感度ダイヤル」の再組立てです。
これが外した状態そのままです。
ダイヤルの裏側です。
本体ギアと噛み合うべきギアが見えます。又、2つの突起物も見えます。
これらの突起物は、フィルム感度ダイヤルの突起物で、長短あります。長い突起物をAと名付けます。
本体側でフィルム感度を設定する黄銅のリングは赤い矢印と反対の方向へ回転させる事ができますが、外力を加えない時にはバネ力によって赤い矢印方向に回転し、写真の位置で当たって停止しています。
この黄銅のリングに彫られた溝aに、ダイヤル部品の突起物Aがはまり込みます。
突起Aを溝aにはめ込んで、赤い矢印と反対方向にダイヤルを回転してやると、工程8の写真の状態になり、この時ダイヤル部の穴と本体機構のビス穴とが合致しますので、この位置でビスを締めます。
19.
隠しビス用の赤いアルミ円板は、取り去る時にぐちゃぐちゃになりましたので、代替え品が必要です。
今回は、クリアファイルを使いました。不透明赤色を使用しているクリアファイルを探して、それを小さな円板に加工し両面テープで貼り付けました。
なお、写真中の右側の赤色円板は、今回の様な修理の時に使用するサービス部品です。貴重品ですから、サンプルとして取ってあります。
20.
全ての部品を際組み付けしました。最後に動作確認を行っています。